けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

2016-01-01から1年間の記事一覧

まっとうそうな皮をまとって、内側のドロドロしたものが放つ腐臭を隠しながら、どうにかこうにか生きている。 自分を肯定することができないまま”大人”と呼ばれる年齢になって、いまだに他者を遠ざけるように生きている。 褒められたり、好かれることが怖い…

自分で決めたのだから、最後まで、すべてを、誰かのせいにせず、自分はこれでいいと思うのだと言い切って、たまに苦笑いをして頭を掻きながら生きよう。「そんなことをする時間があるなら、もっと有益な事をしなさい」と、心ある人が忠告してくれる。 私がそ…

夢の記録

夢の記録。私は、どこかの建物の中にある階段を上ってゆく。人ひとり分の幅、白い壁、木製の階段。左側の壁には等間隔で大きめの窓があり、そこから入る光が空間を照らしている。まだ陽は高く、空間全体が明るい。 私は一人ではない。成人した、たぶん年上の…

組み直す

人間は、ひとつの人生の中で何度生まれ、変質し、分離したり、融合したりするんだろう。私はとんでもなく巨大な自意識とともに生きている。 自分の中の構造が音を立てて崩れることがあり、腐臭を放ちながらドロドロに溶け出すことがある。かと思えば、気付か…

感情を保留する

その場には非難と言い訳と欺瞞が満ちていて、自分の感情を拾い上げることができない。何に対して怒っているのか、うまく言葉にできない。 私があなたの期待通りのパフォーマンスを見せないことに対するあなたの苛立ち。 あなたに品定めされることへの不快感…

概念のような、あなた

電話を使って音声だけの対話続けていたら、あなたの顔を思い出せなくなった。 声を聴いても、電話の向こうにいるその人が確かにあなたであると断言できない。 会話を始めるときにはいつも、相手の言葉を注意深く観察して、記憶に残るあなたの印象と齟齬がな…

対岸のあなた

その目で見たいものはなにか、 自分の志向性に気づいているか見たいものばかりに気をとられて、 場がもたらすものを見逃していないかそれを受けとるいれものを持っているか その接触面に作用と反作用は存在しているか 連れていかれること、と、そこにいくこ…

感情を記載する

あるモノゴトに対して、自分が何を感じているのかを即座に言葉にできない。何も感じない(反応がない)わけではない。体内にエネルギーの塊が発生するが、その場で他者にわかるように描写することができない。 塊には名前がない。だから、それを何と呼ぶべき…

もーりすに会いに行く

9月初旬、北海道札幌市を訪れた。 自由時間が結構あって、天気もいいし、もーりすっていうゆるキャラもかわいいから藻岩山に行こうということになった。 もいわ中腹駅から展望台へと続く散策道にて。 キク科植物のてっぺんで、がさごそしてた。 赤と黒のコン…

手綱をにぎる

しっかりとにぎって、はなさない。

あなたがここにいたら

恒久性なんてあなたも私も信じちゃいない。 あなたや私の身体が、明日も今日と同じように存在しているかなんて誰にもわからないのだし。 自分に言い聞かせるように生きている。自分が壊れてしまわないように、暗示をかけて。あなたの世界における私の不在は…

たとえば

たとえば、彼らの話す言葉がわかること。たとえば、誰かの怒った顔を見ても冷静でいられること。たとえば、隣の人と意見が違っても、大丈夫、と思えること。過剰なまでに自分を意識して、観察して、過去や他者と比較したあとで、 どんな結論が得られたら満足…

足元を見る

頭の整理をすると、歩く道の少し先が見えるようになる。 顔を上げてしばらく歩くと、意識が前方に向けられて足元が見えなくなっていく。 そのくせ、ずいぶん遠い場所だけが妙に明るくみえたりする。顔を上げたり下げたり、迷ったり、遠くを眺めたり何度も何…

引き寄せられるもの

あなたの強固な自尊心は、いったいどのように形成されたのか。 どうして私は、あなたのような自尊心を持つことができないのか。ただひとりで佇む人々に畏れを抱く。 強烈な”孤”に私は引き寄せられる。 彼らをどこまで追いかけても、私はわたしのままなのに、…

きっと、それだけだった

「さようなら、私はこちらの道をゆく」きっと、それだけのことだった さようなら私はこちらの道をゆく

備忘録

期待、評価、責任、意思何かを選ぶ理由のありかを、知っておかなければならない。

感受性の領分

図書館で『感受性の領分』(長田弘)を借りてきた。これは深呼吸をするための本だ、とおもう。 余計な感情を宙に浮かせて、空いた隙間から新鮮な空気を取り込むための。 押し流されるような大きな流れから少し遠ざかって、自分のタイミングで呼吸をするため…

へんなこと

このところ、自分のことで「へんなの」と思うのは、 なにもしていないのに、失敗するんじゃないか、という恐怖に怯えているところだ。 ただただ何かに失敗する不安に包まれて、ここにはいない誰かに自分の無能さを謝りたい衝動にかられている。謝る前にやれ…

Outlaw Pete

近所の喫茶店には大きな液晶スクリーンがあって、いつもなにかしら、ロックバンドのライブ映像が流れている。 私はあまり音楽に詳しくなく、そこで流れている音楽はビートルズやイーグルスの有名な曲くらいしかわからない。 マスターに訊けば名前を教えてく…

ひとつの方法

自尊心を育む、あるいは自分を信頼するための、たったひとつの方法は、知らなかったことを知るように、 昨日できなかったことを、今日できるように、 ひとつひとつの選択に責任を持つように、そのように生きる自分自身を認識すること。自尊心は、誰かのまな…

悪意のない言葉

誰かの言葉がずしんとくるのは、それが図星だからだ。 自分自身で痛いほどにわかってて、だけど直視するのが怖いような事柄を、言語化されて渡されてしまった。悪意なく投げられた言葉。発言者を恨んでみても、生産性がない。 恨んだところで、私の状況は変…

ソフィーの世界

前回、江戸川乱歩『人間椅子』のラジオドラマ版をみつけて、単純作業のBGMとしてずいぶん優秀で気に入った。タイトルはよく耳にする作品だから内容は知りたい、しかし本を読むのは少し面倒だ…という怠け者には、音声で楽しめるというのがよい。 他の作品を探…

「あらまぁ」の効用

失敗したり、びっくりするようなことが起きたとき、 大きなため息をつく前に、とりあえず「あらまぁ」と呟くようにしている。緊張感のない語感がいいんだろう。ほどよく肩の力が抜けて、起こってしまった事柄への執着が減る。自分の失敗でも「あらまぁ」って…

亡霊と記憶

ちょっと見かけた長田弘氏の文章が気になって、引用本の『感受性の領分』をじっくり読んでみたい気になった。残念ながら大学の図書館にはなく、ならば買おうと検索したら、どれも中古品の取り扱いだった。あらまぁ。市立図書館に行くか、中古で買うか。どう…

人間椅子

単純作業のBGMに『人間椅子』(江戸川乱歩)を選んだ。佐野史郎の朗読で。 この作品を構成している、一通の長大な手紙の書き手について妄想する。 皮一枚を隔てて触れ合う顔も知らない女の感触について饒舌に書きたてる男。 それは怪文書であり、斬新なラブ…

亡霊の不在

けものみちを歩きはじめると、亡霊が見えなくなる。亡霊なんか見えなくたって生きていけるのだということを、私は経験として知っている。 それなのに、心が弱るとどうしても亡霊を目で追ってしまう。どうして私は余計なものを見たがるのだろう。 亡霊を見れ…

手の使い方

行動は思考の停止、であるならば、思考は行動の停止、にもなるだろうか? 駆動パーツを切り離し、構成物質をどろどろに溶かして組み上げ直す作業を延々続けていても、できあがるのはやっぱり同じ。現実には一歩もその場を動いていない。溶かす前も後も成分は…

亡霊と共に生きる毎日

みんなに置いて行かれた孤独な記憶の残渣から 寂しげにしかし小気味よく滴るしずくのひとかけらを掬いあげ覗きこむと あら不思議それはあなたの不義理を非難する架空の請求書に繋がっていた 封筒に押された消印は三ヵ月前

亡霊がきえるまで

亡霊が現れる。 相変わらず綺麗な白い肌をして、うつむき加減に細めた目でここではないどこかを見ている。きっとまた、広大な言葉の海で溺れたふりをして遊んでいるのだろう。ことばを拾っては並べ、眺めてはひっくり返し、裏返して覗きこむ。そうやって、精…

私は私を、

世界は敵でもないし、味方でもない道の途中、ひとりで立ちつくし動けないあなたが叫ぶもう、じゅうぶんだ。 もう、たくさんだ。誰かの失望のまなざしは、もはや、あなたを傷つけない世界は敵ではない。味方でもない。