けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

亡霊の不在

けものみちを歩きはじめると、亡霊が見えなくなる。亡霊なんか見えなくたって生きていけるのだということを、私は経験として知っている。 それなのに、心が弱るとどうしても亡霊を目で追ってしまう。どうして私は余計なものを見たがるのだろう。 亡霊を見れ…

手の使い方

行動は思考の停止、であるならば、思考は行動の停止、にもなるだろうか? 駆動パーツを切り離し、構成物質をどろどろに溶かして組み上げ直す作業を延々続けていても、できあがるのはやっぱり同じ。現実には一歩もその場を動いていない。溶かす前も後も成分は…

亡霊と共に生きる毎日

みんなに置いて行かれた孤独な記憶の残渣から 寂しげにしかし小気味よく滴るしずくのひとかけらを掬いあげ覗きこむと あら不思議それはあなたの不義理を非難する架空の請求書に繋がっていた 封筒に押された消印は三ヵ月前

亡霊がきえるまで

亡霊が現れる。 相変わらず綺麗な白い肌をして、うつむき加減に細めた目でここではないどこかを見ている。きっとまた、広大な言葉の海で溺れたふりをして遊んでいるのだろう。ことばを拾っては並べ、眺めてはひっくり返し、裏返して覗きこむ。そうやって、精…

私は私を、

世界は敵でもないし、味方でもない道の途中、ひとりで立ちつくし動けないあなたが叫ぶもう、じゅうぶんだ。 もう、たくさんだ。誰かの失望のまなざしは、もはや、あなたを傷つけない世界は敵ではない。味方でもない。

徒然草より

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。驥(き)を学ぶは驥の類ひ、舜を学ぶは舜の徒なり。偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。 『徒然草(第85段)』