けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

とどまらないもの

ヘーゲルの解説書を読みながら、頭がぞくぞくしている。 書かれていることをそのままむしゃむしゃと飲み込んでしまいたい。 文字を追うスピードを、こんなにもどかしく思うのもひさしぶりだ。言語やことばについての章を読んでぼんやり考えたことを思い出す…

誰かに肩がぶつかることを深刻には考えずに、次に飛び移りたい石の名前を口ずさみながら歩く。 肩が当たった人々の顔をよくみたら、別に怒ってるわけでもないようだった。 目が合えば、あっちに良さそうな石があったとか、こっちの靴の方が歩きやすいんじゃ…

飛び石をわたるように

誰にもぶつからないように、人々のすき間をそっとすり抜けるように生きてきた。 飛び石を渡るようなイメージだ。一つ場所を次の石への足掛かりと捉え、あまり長くとどまらないし、こだわらない。 私はいっちょまえに自分の脚力で石を渡り歩いたつもりで、そ…

自分は逃げてるんじゃないかという、ぼんやりとした不安あったけれど。それを続けたくないと確信する自分を見つけて それを続けることには意味がない、と思う自分がいるならば これ以上、どうしてそこにいる必要があるの。離れられない理由が、誰かに恨みご…

自分の不安が、誰かの言葉に憑依して自分に届くようなことがある。 その言葉には、物理的な発言者の感情もこもっていたとおもうけれど、私はそこからより強く自分の感情を感じ取る。 他者の期待に沿えなかったことへの自責の念や後悔、そういう感情が増幅さ…

自分の感じる不快さを言語化できることも成長の証だ。

わたしにとってあなたが これほど大きな存在であるわけは あなたが はじめて わたしの姿をとらえてくれたひとだからだ。あなたがわたしをみつけてくれるまで わたしはとうめいで わたしは自分のかたちをしらず わたしはそこにいなかった。あなたはわたしにこ…

甘辛い煮物

最近、食材を酒と砂糖としょう油で煮てばかりいる。鶏のレバーや芋や根菜が安いから、というのが実質的な理由だけれど、 なにしろ、甘辛く煮つけておけば日持ちするので便利だし、 この味付けは白米とパンどちらに合せてもだいたい美味しくいただける。 作り…

封筒とメモ

彼の夢を見た日は、感傷的な気分ではじまる。 ほんとうは因果関係は逆で、疲れて感傷的になっているから彼の夢を見るのだと思う。記憶のほころびから漏れ出した感情の断片が、ありもしなかった物語を紡いで映し出していく。封筒が届き、中から彼のメモが出て…

始めて自分の言葉を、伝えたかったかたちで相手に渡せたような気がする。今までずっと、彼らと同じ国で生まれ育ち、共通の言葉をはなしていたつもりだったけれど、私はひとり異国の言葉をはなしていたのだろうか。

ひとつの場所に長くいられないのは、自分の中身を覗かれたくないからだ。 自分で嫌気がさしているこの不完全さを、誰の記憶にも記述されたくないからだ。 自分でもうまく理解できない私のことを、知ってほしくないからだ。完全に理解されたいという欲求が、…