けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

夢の記録

夢の記録。

私は、どこかの建物の中にある階段を上ってゆく。人ひとり分の幅、白い壁、木製の階段。左側の壁には等間隔で大きめの窓があり、そこから入る光が空間を照らしている。まだ陽は高く、空間全体が明るい。
私は一人ではない。成人した、たぶん年上の男性と行動を共にしている。私はその男の名前を知らないが、初対面ではない。彼と行動を共にすることに安心感を抱いてさえいる。

窓の外の風景から察するに、この建物は丘陵地域にあるらしい。窓の向こう側には山が見えて、その斜面には赤銅色の家々がみっしりと並び、山の上の方まで町並みが広がっている。近代的ではない、シンプルな土のカベと屋根の家からは生活の気配がする。山の中腹には、やはり赤銅色の、動物の頭をモチーフにした巨大な門があり、完全に町と一体化している。私はそれを見て、城と城下町、と思う。門の奇妙な形だけを見れば、新興宗教の拠点にもおもえる。
私が、あれは何か、と男に尋ねると、男はその建造物群の名称を教えてくれた。私が彼に対して抱く奇妙な安心感は、彼が現在地を把握しているということに起因するのかもしれなかった。

私たちは随分長いこと階段を上り続けていたが、ある階で何かが起こり(覚えていない。彼が誰かと話していたような気もする)、今度は階段を下り始めた。
ぽつりぽつりと会話をしながら、私たちはどこかへ向かう。どこへ向かうのかは、知らない。