けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

組み直す

人間は、ひとつの人生の中で何度生まれ、変質し、分離したり、融合したりするんだろう。

私はとんでもなく巨大な自意識とともに生きている。
自分の中の構造が音を立てて崩れることがあり、腐臭を放ちながらドロドロに溶け出すことがある。

かと思えば、気付かないうちに新しい構造ができていて、しれっと機能していることがある。
ひとつ前の身体よりも丈夫でしなやかに組みあがっていたりする。
それがまったく意図せず出現したものか、無意識の夢で見ていた姿なのかはわからない。

自分で描いた設計図以外の何を頼るというのか、自分の手で設計図を描け。
全て壊れて、ドロドロに溶けて、更地になった場所に何を建てるのか。
意思の強さが祖母に似ているあの人が、私の止まっていた心臓をつかんで握った。
彼女は私に、もう一度組み立てる時間を与えようとしている。

きっと、組み立てるための場はいつもあった。いつも誰かに与えられ、ひょっとしたら設計図まで渡されていたけれど、私はそこに何かを組み立てることの意味をわかっていなかった。