けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

亡霊と記憶

ちょっと見かけた長田弘氏の文章が気になって、引用本の『感受性の領分』をじっくり読んでみたい気になった。残念ながら大学の図書館にはなく、ならば買おうと検索したら、どれも中古品の取り扱いだった。あらまぁ。市立図書館に行くか、中古で買うか。どうしようかな。

記憶についての文章が静かに私を刺激する。
『ひとの記憶は、しばしば「あったこと」の記憶の中にはいりこむ「なかったこと」によって歪められ、確かめようもない「なかったこと」によって不確かにされている。』

私がみる”亡霊”は、きっと「なかったこと」が生み出した実体だ。
それが「なかったこと」だと知りながら、見える、という事実がもたらす充足感に溺れて振り払えずにいる。