けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

2017-01-01から1年間の記事一覧

自分のカタチをした穴に、すっぽりと嵌まり込んでしまったみたいに身動きがとれない日 笑ってやり過ごすにはしんどくて、電話の着信もきかなかったことにしたい日

物語は自動的に生成されるのだ。だから、あなたには その物語をひとりで背負い込む理由なんてない。

もういいな、と思う。 もう、終わりにしてもいいんじゃないか。

自分の存在を否定するために、 自分について描かれた本のいっさいを捨てようとした。きちんと区切りをつけずに、 栞もはさまないで、私は本を閉じてしまった。 物語の中にあなたを置き去りにしたまま。

あなたから盗み取ったあなたの一部を 私は死ぬまでに 返すことができるだろうか

手紙をかくこと

私はなんとなく、紙とペンを使って手紙を書くことが好きだ。 いまこの空間を共有していない誰かに、いまここにいる私が書くことばが伝わる。 そのことが、不思議でおもしろいとおもう。ここにいない相手に、時空をまたいで伝えたいことがあって、 宛名に書い…

それを呪いにするか、祈りにするかは、ことばの選び方ひとつだ。 それを私の中に留めている限りは。 「こたえあわせ」をするまでは。

その眼を差し出し扉を開け 以後の世界に遷移せよ変化が怖いか 過去を見つめるその眼球を失うことを躊躇うか 以後の存在になることを拒むのかいかなる過去も消えはしない 過去を見る眼を差し出して 何度、その境界を越えたとしても 語られたものは、その形を…

それはきっと、私が思っているほど頑丈でも真っ直ぐでもない。

私を直接覗き込んでもことばは見えない。 あなたを通して私を見るときに、ことばが立ち現れる。

形を変えることのできる それゆえに ほんとうの形、のことをほのめかされると 形を保つことさえむずかしい そのような、存在 ××××語られなかったことだけで組み上げられた壁に周囲は覆われていて、語られなかったことを”無かったこと”にしてしまった私の目は…

何が起きたのか、ということを自分自身に対してさえも説明できないできごと について憎んだり恨んだりする感情はそのままに謝ったり謝られたりすることなくただ、 あの日、何が起こり、それぞれが何を思ったのかそれだけを話す場があったらいい。 あなたと「…

私はあなたと”おなじもの”になりたくて、 あなたの記憶と眼球と、そしてあらゆる神経回路が欲しかった。あなたの目が私を見るとき、私はあなたの目を通して私の内側を覗きこみ、そこに広がる奇妙に捻じれた光景を直視することができなかった。あなたが差し伸…

紙切れ一枚が、私と私を取り巻くものをdriveする

飲みこむ

生きやすくなったのは、言葉の選び方、表情の作り方、涙の流し方が上手くなったからだと思っていたけど、たぶんちがう。 それらを慎重に行うためにエネルギーを割かなくなったからだ。 誰彼かまわず毒を投げつけて、自分で毒を消化することを怠っているから…

壊れて、なくなる

自然物の模型を作った。 必要に迫られて大急ぎで作ったそれは、布やテープの質感が隠れもせず、いかにもチープで不格好だった。 けれど愛でてくれる人たちがいた。彼らが「これを使って、もっといろんなことをしてみよう」と言ったことをきっかけに、模型と…

本線が見えない

私の傍若無人な振る舞いは、たくさんの”大人”に、許されながら生きている。 いつまでそれを続けるつもり?

あちらとこちら

自分の意志だけで選ぶものなんてどこにもない。これまでも、これからも。 誰もいない方へ、無難ではない方へ そういう場所に行きたがるのは、 それが何ものにも影響されずに、自分だけの意志で選んだものだと信じたいからなんでしょう? ここに在るというこ…

わかる

提示されたあなたの考え方や癖が、私のそれととてもよく似ていた。 私が「わかる」と口にしたのは、私があなたに対して感じた親近感を一番簡単に、楽に伝える方法だったからだ。「わかる」 いったいどれほどわかっていたのか。 いったい私はあの人の何を知っ…

ひとつのなかのふたつでひとつ

私があなたになったのか、あなたが私になったのか。

毎日、似たような夢を見る。目をつむると、私は迷路をさまようひとつの点になる。 いくつかの分岐ごとに、名前の付いた点が生まれる。 私は同時にいくつもの点として存在する。 私はバラバラになりながら、すべての点として同じ瞬間に存在している。

瞳をくりぬいて

あなたの瞳を私の視神経につなぎ、あなたの視野を手に入れたい。ちがう。私が手に入れたいのは、あなたの思考。 あなたの脳みそに並列化したい衝動をどうにかしなければ、 この焦りはずっとくすぶったまま。 私はずっと狂ったまま。

落下の感覚

怖い。 「ちゃんとやれば、大丈夫」と君は言うけれど、私は”ちゃんと”できているだろうか。目を閉じて平均台の上を歩く感覚を思い出す。 一歩前に足場があるとわかっているのに、脳が落下の感覚を押しつけて身体がこわばる。 私の落下が隣の人を巻き込んで一…

ひとつの光景

私が「このような人間である」ということを、周囲の人々はわりあい自然に受け止めてくれていた。それを否定したり、蔑んだりする人はどこにもいなかった。 むしろ、欠点となる部分を指摘して、どうしたら社会生活をより円滑に営めるのかについて助言をくれた…

耳をふさいだまま

「きっとあなたは無難な方の道を選ぶ」そう彼に言われたとき、それを呪いの予言だとおもった。 だから、呪いを振り切るように耳をふさいで歩き出した。ひとの話をちゃんと聞かないから、迷子になった。 もうずいぶん長いこと、今どこにいるのかよくわかって…

次の場所へ

静かにこの場を離れ、次の点へと移動する。遷移せよ。変化せよ。

漂う舟の上で

ひょっとしたら、このちっぽけな存在は、次の波で転覆してしまうのかもしれない。 上手なバランスのとり方がわからなくて、いつもビクビクしている。 バランスを取ろうとすることが正しい対応なのかもわからない。 あっちへ踏ん張り、こっちへ傾け、そうして…

ゼロに収束する

できなかったり、やらなかったりすることを、私は選んでいる。できない自分や社会的に機能していない自分を眺めながら、ぼんやりと「それでいい」と決めていて、 私の活力はゼロに向かって収束しはじめている。 感動に胸が震えた日も、あそこへ行かなければ…

さくら

それは、日本の春に花を咲かせる木の名前です。 うす桃色の花がこぼれ落ちるように咲き、あたりの景色を明るくします。 そして、 全ての花が開いてひと呼吸も置かないうちに、その季節特有の強い風で散ってしまう。

記憶のフィルター

ある楽曲を、彼の遺物としてではなく、”楽曲そのもの”として聴きたいとおもう。 10年前に少年が教えてくれたその音楽は、いまも彼というフィルターを通してしか私に届かない。少年を心底尊敬するから、彼が「よい」と言ったものを「よい」と思い込もうとして…