けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

その眼を差し出し扉を開け
以後の世界に遷移せよ

変化が怖いか
過去を見つめるその眼球を失うことを躊躇うか
以後の存在になることを拒むのか

いかなる過去も消えはしない
過去を見る眼を差し出して
何度、その境界を越えたとしても
語られたものは、その形を残したまま
語られなかったものは、水底に沈んだまま
以後の世界の部分であり続ける

いかなる過去も消えはしない
それは呪いである
それは救いである