けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

ゼロに収束する

できなかったり、やらなかったりすることを、私は選んでいる。

できない自分や社会的に機能していない自分を眺めながら、ぼんやりと「それでいい」と決めていて、
私の活力はゼロに向かって収束しはじめている。
感動に胸が震えた日も、あそこへ行かなければというちぎれるような焦燥感も、とても遠い記憶のような気がする。
眩しい光のなかに佇む、あの涙が込み上げてくるようなひとつの光景に、ついに手が届かなかった。

残念だったね。

そういうことにして、終わらせようとしている。

どうして。
どうしてこの心は震えないのか。
どうして、手を伸ばしても伸ばしても届かなかったあの像は見えなくなったのか。
どうして像を探すことをやめてしまったのか。
どうしてこの身体は耐えしのぶことをやめて、だらしなく流されてしまうのか。
どうして、どうして。