けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

わかる

提示されたあなたの考え方や癖が、私のそれととてもよく似ていた。
私が「わかる」と口にしたのは、私があなたに対して感じた親近感を一番簡単に、楽に伝える方法だったからだ。

「わかる」
いったいどれほどわかっていたのか。
いったい私はあの人の何を知っていたのか。
それは、どれほど不用意に発せられた言葉だったろう。

嫌われないために
もっと相手に近づくために
同じカテゴリにいるために

そんなことのために言葉のひとつひとつがこぼれていって、
胸にとどめておきたかった大事な何かが消えている。