けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

わたぼこりにつまづいてしまう

道端に落ちているわたぼこりが気になって仕方がない。
拾わないと前に進めないんじゃないかという気がする。
立ち止まって、つまみあげるべきか、無視して通り過ぎるべきか、迷っている。
つまみあげるなら、どうやってやろうか。誰か助けを呼ぼうか。手袋をした方がいいだろうか。

本当はわたぼこりはどうでもよい。
立ち止まることの方が目的だ。
わたぼこりを理由にして立ち止まり、その先にあるものに直面したくない。
私は目の前にある優先度の高い課題から目を背けたくて、その場に立ち止まる理由を探して、ようやく見つけたわたぼこりから視線をそらすことができない。

わたぼこりにイライラするとき、私はつかれている。
そして、私には目を背けたいけれど大事な課題があり、課題を解決するため手順が見えていない。
それに取り組まない限り、「わたぼこりなんか吐息で吹き飛ばす」みたいなことさえ思いつかない。

わたぼこりにイライラするとき、私は目の前のことだけに集中したらいい。
私の生き死にや、生活に直結するであろう”目の前のひと掃き”に精神を傾けたらいい。
そうするうちに、わたぼこりは消えてなくなる。

ということに気づかせてくれる人が身近にいることを、私は感謝しよう。
私と同じ穴にははまらない、私とは違うかたちをしたあなたを大切にしよう。

いつも、目の前のひと掃きに集中できるひとでありたい。
いつも、自分が何を大事にしたいのかを見わけることのできるひとでありたい。