けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

ひきよせられるもの

あまり音楽とか写真とかに触れる機会は多くないけれど、たまらなく惹きつけられる作品に出会うことがたまにある。
萩尾望都の表現を借りるなら「ひきよせられる」という感覚がとてもしっくりくる。

一番最初にこの感覚に気づいたのは、中学生のときに「世界の車窓から」のカレンダーで見つけた”青い空と荒野にのびる線路”の写真を見たときだ。
私の中のどこかにある郷愁、あるいは憧憬のセンサーが強く反応して、涙が出そうだった。
そこに行かなければならない気がして、そこでただ涙を流したかった。
ひきよせられる。たまらなくそこに行きたい。
それは帰る場所なのか、辿り着く場所なのか。
それが達成されたら私の生きている目的はなくなってしまうんじゃないか。
なんなのだろうね、この感じは。

行ってみたらいいんじゃないかな。
確かめたらいい。そこに辿り着いたときになにが起こるのか。
きっとなにも変わりはしないけど、そのことを確かめるためだけにでも、その場に立ってみたらいいんじゃないかな。
この生があるうちに。