けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

道ばたの光景

「来年またね」という言葉とともに二人は別れた。
今は三月だから、来年は早くても九ヵ月後だ。
私には長いと思えたその年月の長さと、二人の別れのあっさりさが不釣り合いに思えた。
来年のその時に必ず会える確信があるのか、別れをそれほど惜しむ間柄じゃないのか。
それとも、おおげさな別れの儀式はもう済んでいるのかもしれない。