けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

自分のための料理

誰かのために作る料理はドキドキして苦手だけど、自分のために作る料理は、作っている時間も含めて好きだ。
素材を自分の好きな味つけにして食べるというのは、なんという贅沢だろうとおもう。
冷蔵庫のあり合わせをレンジで加熱するだけで済む料理も、すこし気合をいれて買った素材に何段階かの調理行程を加えてできる料理も、どちらもよい。

自炊をできている期間は元気なときが多い。
好きなものを食べているから元気、というよりは、
元気だから食べたいものがわかって、そして調理工程を考える精神的余裕があるから、それを作って食べることができる、ということだとおもう。
少しの余裕がほんとうに大事だ。

好きなものを食べたら元気が回復して、それは次の料理へのモチベーションにつながるはずだけれど、そううまくもいかない。
疲れ切ってしまった日には何が食べたいのかがよくわからなくなって、わからないまま適当な菓子パンをかじったりする。
帰り道にコンビニがなければ、何かを食べようという気にもならないだろうとおもうにつけ、ほんとうにコンビニには感謝している。

それでも、冷蔵庫にひとつ残ったナスをレンジで加熱して、かつお節としょう油をかけただけの名もない料理を食べるときに感じる安心感を、忘れたくないなとおもう。