けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

これまで、誰かに頼みごとをしたり、ものを訊ねたり、自分が作ったものを見せる、などの行為につきまとっていた緊張感が薄れてきた。
息がしやすい。とても。

断られてもいいし、否定されてもいい。それは大きな問題ではない。
ということは、うっすらとわかっていたけれど、どうしても怖かった。

寄り道を余儀なくされたことで、今まで会ったことのない人に会い、
やったことのない方法で交渉し、自分のことを話した。
そういう過程を経て、断られることもあるし、話を聞いてもらえることもあるとわかった。
断られるかどうかは、私の要因だけで決まるわけではない。
そこには相手の事情やタイミングも関係している。

誰かと対峙するときに、
私は何者で、何がしたくて、何をするためにあなたに合うのかということを考えて、それを言葉にして伝える行為は、
最近見失いがちだった自分自身のカタチを取り戻すための作業のようだった、と今はおもう。

新しいことを始めれば、誰かに聞かなきゃわからないから質問をして相手の時間を消費するし、失敗するから損失も出る。
その場にいるだけで誰かの資源を消費しているみたいな気になるし、実際その通りだ。

けれど、なりふり構っていられない、というのが正直なところで、
いまは少し元気だから、泥だらけになるまで転んで、転がって、土の感触を確かめたいような気がしている。