けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

隔てるもの

この空間にはわたしたちが”死”と呼ぶものが充満している、というより、死そのものがこの空間である。
わたしは、その空間に浮遊する閉じられた構造物だ。
いつしか組み立てられた構造の内側を、わたしは”わたし”と呼んでいる。

わたしと死はいつも隣り合っているし、もともと死だった場所に組み上げられたわたしは、生まれたときから死を内包している。
そして、この構造がひとたび解け、綻びれば、わたしはたちまち死に溶けていく。