けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

終わらせるつもりは、あった。
終わらせたいという気持ちも、あった。
けれど、途中でひどく疲れてしまって、終わらせるのに必要な気合みたいなものはどこを探してもみつからなくなってしまった。
予定されていた仕事を、自動的に終える仕組みも整えていなかった。

そして、それは期日通りには終わらなかった。

「次の期日までに終えるつもりは、ありますか?」と彼女は訊ねた。
”期日”は定期的にやってきて、私は前回のそれを逃してしまったけれど、次の期日はまたすぐにやってくる。
私は「はい」とこたえたけれど、一度その手から逃してものを、今度はちゃんとつかめるかどうかなんて自信がない。
自分でできると思えないことが、できるものか。

現在の日常に少しの変化をもたらすものが、いつか大きな変化を生むと根拠もなく信じている。その根拠のない断定が私の身体を動かしている。
そのくせ、明日の仕事を時間通り終える自分を想像できない。