けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

逃げるための準備をはじめよう

「すべてはお前を思ってやっているのに!誰も助けてくれなかったと、一生言うなよ!」と吐き捨てて彼は部屋を出て行った。
その捨て台詞は、いままで彼が私のことをどれほど格下に見ていたかが如実に表れていて、後頭部をガツンと殴られるような気がした。

私は彼に何も乞うていないし、助けてもらおうなんて思ったこともない。人として対等な立ち位置が築けないなら、もう話すことはなにもない。

私の周りでは警報が鳴り響いていたのに、自分が嫌われないことばかりを気にして、これほどけたたましい音に気づけなかった。身から出たさび。因果応報。