けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

人類にとってたいして重要ではないこと

私は、お堅い名前の組織の庇護下で、たいへんにばからしいことをしている。
”それ”は大事だ!”それ”は重要なことだ!と肯定する人々に出会うと「正気ですか?」と思う。
彼らはどんな未来を描いてそのように発言するのだろう。私にはその青写真がさっぱり見えなくて困惑する。

自分が自分のやっていることを信用していない。
だから次の一歩を踏み出そうとするときに足がすくむし、みんなの前で自己紹介する声が小さくなる。
後ろめたい理由なんてない。
ただ”それ”が「人類にとってたいへん重要」みたいな枕詞とはほぼ永久に無縁で、人類にとってたいして重要でもない”それ”にばかり関わっている自分に誇りを持つことができず、自信を持って紹介できない。

困ったことだなと思っていた。
私だって、人類にとってたいへん重要なことに関わって胸を張って生きたいけれど、どうやらそういったモノに触れるタイミングを逃したらしい。
そして私はもう”それ”を無遠慮に投げ捨ててその場を去ることができない。できるけど、気軽にそれが行える時期はとうの昔に過ぎてしまった。
このまま自信のなさと、誰に対してだかもわからないような申し訳なさと共に生きるのか。この場所から逃げ出したい。

のだけれども。
ある日、そのような自己矛盾にさいなまれながら悶々とネットを漂流していたら、ふとラーメンズの名言集に遭遇し
「ばからしいことは、真面目にやったほうがいい」
という言葉をみて、なんだか頭がぐわんぐわんしたのだった。

たぶん、私は発言者の文脈や意図を無視してこの言葉を受け取ったと思う。
でもまあ、ぐわんぐわんしたのだった。

突き詰めたらどこかに辿り着くんじゃないのか。
それをおもしろく人に伝えることはできないのか。

人類にとってたいして重要ではないこと、やってみてもいいんじゃないかね。真面目に、真剣に。