けものがゆく道のむこう

いいにおいがする方へ かすかな気配をたどる道

ドレスとハイヒール

こんなに心がざわつくのは、自分の境遇を肯定できないからだ。
身の丈に合わないドレス、慣れないハイヒール
分不相応、と自嘲気味に笑っても嫌味なだけ。
このひらひらのドレスを欲しいと思った人が、他にあと何人いたのだろう。

たまたま、私が手にしたこの服は
簡単に破って捨てることができるのに、
そっくりそのまま誰かに譲ることは決してできない。

ならば、
そのドレスを着たままで、そのハイヒールを踏みならし
その恰好で行けるところまで行け